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『ただ祈るということ』

『ただ祈るということ』 / 2012 / oil on board / H1800㎜×W7200㎜ / ¥1,200,000
『ただ祈るということ』 / 2012 / oil on board / H1800㎜×W7200㎜ / ¥1,200,000

-朝日を見て今日一日の無事を願い、雲を見て虚ろいを感じ、山を見て生を慈しみ、月を見て明日を憂う。-

 

東日本大震災から1年・・・。多くの犠牲者を出したかつてない大災害。数えきれない被災者が苦しんでいる中で自分の無力さを痛感した。痛みを変わることも出来ないし、被災地に駆けつけることも出来ない・・・。言葉に出来ない感情を、自分の創作スタイル「心象風景」として形にした。


対極

道教の中心概念“道(タオ)”は宇宙と人生の根源的な不滅の心理を指す。中国で生まれた道教は仏教、儒教などにも影響を与え、日本に渡来すると陰陽師が取り入れ、日本独自の陰陽道が生まれた。それぞれの国、土地で様々な宗教観があり、様々な面で影響しあうが、道教のように多くの教えに影響を与えた物は少なく思う。光と影、生と死、始まりと終わり・・・対極と循環のバランスを保ちながら我々は生きている。

 

 

『陰陽図・満ちた月の夜に(yin)』/2010 /oil on board /直径1,000㎜ / 『Drawing of Cosmic Duality・On the Night of the Full Moon (yin) 』/2010 /oil on board /diameter 1,000mm
『陰陽図・満ちた月の夜に(yin)』/2010 /oil on board /直径1,000㎜ / 『Drawing of Cosmic Duality・On the Night of the Full Moon (yin) 』/2010 /oil on board /diameter 1,000mm
『陰陽図・ふりそそぐ日の光の中で(yang)』 / 2010/oil on board / 直径1,000㎜ / 『Drawing of Cosmic Duality ・In Full Sunlight (yang) 』/ 2010/oil on board / diameter 1,000mm
『陰陽図・ふりそそぐ日の光の中で(yang)』 / 2010/oil on board / 直径1,000㎜ / 『Drawing of Cosmic Duality ・In Full Sunlight (yang) 』/ 2010/oil on board / diameter 1,000mm


「望郷」

youichi-kayama
心的景観図屏風「望郷」

遠ざかる町

近づき通り過ぎる町並み 
車窓に流れる景色も次第に宵の闇に包まれていく。 
住み慣れた故郷を離れ過ごす日々
疲れた心に思い起こされる故郷は哀愁と黄昏に満ちている。 
その淡い記憶は包み行く闇にあたたかな光を残し、静かに闇へと送り行く。
孤独と向き合った時、支えてくれた故郷の思い出は常にやさしくあたたかい。
離れて初めて気が付く大切な感情 
いつか必ずあの場所へ帰ろう。

 

 


「故郷の空」

故郷を流れる大きな川。 

河川敷に広がる草むら。 
所々に立つ木々は蔦が絡み、どこか陰鬱な雰囲気を漂わせる。 
周囲を山に囲まれるその場所は 
吹き降ろす風が目に見えない流れとなり通り過ぎていく。 
見慣れたはずの故郷の川。 
四季折々の景色は何度見ても飽きさせない。  

沈み行く太陽が「終わり」でなく「始まり」に感じた。 
日が徐々に傾き、樹々の影が次第に濃くなる。 
不安を抱えた心にしみる日没。 
すべてを包み込む故郷の空。

 

 


youichi kayama 香山洋一
「淡い光」

 「淡い光」

 

我が身を照らすこの光は 
どのくらいの時間、陰らずにこの道を照らし出すのだろう。 
正しいと思い歩んできたこの道は 
どこかで間違えてはいなかっただろうか・・・ 
振り返っても闇に紛れ、もうはっきりとは見ることが出来ない。 
今はその光の力を信じ、ただひたすら歩を進める。 
その先には何があるのか、

辿り着けるとも知れない道を 一歩一歩丁寧に歩み続ける。 
淡い光を仰ぎながら・・・。


youichi-kayama
「宵の街灯」

 

「闇に浮かぶ一筋の道」

 

無機質な光を放つ街灯に導かれ

家路へと続いていく

両手に広がる夜の果樹園

木々の間に続く暗闇はしっとりした空気を漂わす

目を閉じ深呼吸をすると、ひんやり冬の香りがした。

ふと振り返る

 

この道は明日も変わらず照らされているのだろうか。


youichi kayama 香山洋一
「遠い街の灯火」
「遠い街の灯火」

帰路の途中夕立が止んだ
窓から入り込む風が ひやりとした湿った大地の匂いをつたえる・・・。
車を止め
訪れたばかりの空気を肌で感じる心地よさ、
振り返ると辿った道の先に遠くの町灯り、
さっきまで居た場所なのに妙に遠く感じる・・・。
蛙の声と・・・風と共に・・・迎え過ぎ行く日沈の時間。

youichi-kayama
「静謐」

「静謐」

 

小さくひっそりと佇むその森は 

前夜に降った雪で白い葉をつけている 

木々の間を通り抜ける風 

細く小さな音をたてる。 

時折差し込む陽の光は、雪の葉にさえぎられ、

木々の間に淡い闇を作り出す。 

心の片隅で眠り続ける闇 

いつか雪が溶け闇は光に照らし出されると信じて 



youichi-kayama
「路地」

「澱み」 

 

日々忙しさに追われ、 
仕事の事ばかり心配している 
制作に集中出来ない時間が多い 
不安な事ばかりだ。 
ふと自分を見つめなおしてみた時 
なんだか心が硬くなってる気がした 
言葉にしにくい感情の塊みたいなものが 
浮き上がって来ないで滞っている。 
自分の中で何かが澱みはじめている気がする・・・


youichi-kayama
「追憶の彼岸花」

「彼岸花」

 

想像も出来ない

距離も分からない世界

そこへ君は行ってしまった

共に見た赤い花の群生

妖艶で、華奢だけれど力強い不思議な魅力を放つ花

止まらない時間

月日とともに薄れてゆく 記憶の中で

この花を見るといつも君を思い出す。

共に学んだ1999年の蒸し暑さが残る季節を・・・


「ゆっくりと・・・」

 

河の石が丸くなるように、
時間の流れがとがった気持ちを丸くする。
人の心はコロコロ形を変えるけど、
とがったり、硬くなった時は直ぐに答えを求めずに、
ほんの少し待ってみよう。
丸みを帯びたその形は
きっと前より心地良い。
そしてもっと動きやすい。